噛むダイエット効果をもう少し
噛むことはダイエットを非常に有利にします。よく噛むことで食欲を効果的に抑制し、体脂肪の蓄積を予防することさえ可能なのです。
ではなぜ噛むことで食欲が抑制されたり、体脂肪の蓄積を予防することができるのでしょうか。
満腹感を得るためには血糖値の上昇と、ある種の体内物質の分泌が必要です。
「ダイエットの食欲管理を有利に」においては、食事を20分以上かけて行うことが血糖値の上昇を促すこと、血糖値の上昇と満腹感には比例の関係にあることを述べました。
よく噛まないことで満腹感を得られにくい例としては、早食いなどを行えばたくさん食べてもなかなか満腹感を得られないことが挙げられます。
ご飯をよく噛まないことでその消化吸収を遅らせ、血糖値の上昇に必要な炭水化物が体に素早く吸収されないことがその一因です。
よく噛んで炭水化物の吸収を促してこそ、血糖値の素早い上昇を促して満腹感を早く得られるということです。
ご飯を何度も噛むことによって、甘く感じた経験はないでしょうか。
ご飯のような炭水化物をよく噛んで食べれば、唾液のアミラーゼという酵素によってそれが細かく分解されます。
炭水化物が細かくなればそれがより早くブドウ糖に変換され、腸で吸収されやすくなるのです。
炭水化物が腸で吸収されなければ、血糖値は上昇しません。
またよく噛むことで、ヒスタミンという体内物質が分泌されやすくなります。ヒスタミンはレプチンとともに、食欲抑制に働く体内物質です。
ヒスタミンが体脂肪を減らす
ヒスタミンには体脂肪を減らす働きもあります。
よく噛むことで分泌が促されるヒスタミンですが、これが体内で分泌されることで白色脂肪組織に作用して体脂肪が分解されるのです。
ところでメタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を原因とした複数の生活習慣病が心血管疾患の発症リスクを持つ病態です。
メタボリックシンドロームを予防するためには、内臓脂肪が蓄積される状況を改善させなければなりません。
ヒスタミンには体脂肪を分解する作用があるのですが、この作用は皮下脂肪よりも内臓脂肪の分解で有意に観察されます。
ヒスタミンには、体脂肪を燃焼させる作用も期待できます。
細胞には体脂肪を燃焼させてエネルギーを取り出すミトコンドリアが存在していますが、ヒスタミンにはミトコンドリアに作用して体脂肪を燃焼させる作用があるのです。
従ってメタボリックシンドロームの予防にも、よく噛むことがその対策となることは明らかです。
ヒスタミンとよく似た役割を持つ物質には、ヒスチジンというものがあります。ヒスチジンはヒスタミンの前駆アミノ酸で、経口摂取することにより体内ではヒスタミンに変化します。
従ってヒスチジンを食品から摂取することでも食欲抑制や体脂肪を減らす効果を期待できます。
なお、ヒスチジンはマグロ、ハマチ、イワシ、サンマなどの青魚に多く含まれています。青魚はダイエットにも生活習慣病の予防にも効果的な食品といえそうです。