低インシュリンダイエットに学ぶ
低インシュリンダイエットが優れたダイエット方法であるとは思いませんが、参考になる部分も実際にはあります。
健康を害しないためには極端な方法に偏向することなく、少しでも体脂肪を減らすためには優れた点を取り入れる考えも効果的なのです。
低インシュリンダイエットの理論とは、できるだけGI値が低い食品を選んで食べることで、体脂肪を蓄えにくい食べ方を実践するというものです。
GI値とは食品のある種の性質を表した数値で、摂取した後に血糖値をどれだけ上昇させる食品であるのかを数値化したものです。
体脂肪が付きやすいタイミングとは、血糖値が上昇している状態です。
そのようなわけで、できるだけGI値が低い(血糖値を上昇させない)食品を選んで食べることにより、食べたものができるだけ体脂肪として蓄えられないように目指すことが低インシュリンダイエットの考え方です。
低インシュリンダイエットの利点
低インシュリンダイエットの利点の1つ目は、食べ方を工夫することで体脂肪が蓄えられにくい食事方法を実践することができるという点です。
2つ目の利点は、GI値が低い食品というもの自体が健康的な食品であることが多い点です。
例えばGI値が高い食品が精白パン(95)や精白米(70)であるのに対して、GI値が低い食品がライ麦パン(40)や玄米(50)、リンゴ(39)である点です。
上記の例から、GI値に関する何かの共通点を見い出すことはできないでしょうか。
すなわちGI値が低い(体脂肪を蓄えにくい)食品とは、食物繊維が多い食品であると言い換えられます。
パンやお米の精白度が少ないほど食物繊維が多いためGI値が低くなるのは当然として、リンゴの場合はペクチン(水溶性食物繊維)を含む食品であるためGI値が低くなるのです。
食物繊維にも機能性の高低があり、水溶性の食物繊維は不溶性のものと比べて機能性が高いのです。
体内で水分を吸収することで摂取した元の量の何十倍にも膨れ上がり、一緒に摂取した糖質を包み込んでその吸収速度を遅くするから機能性が高いのです。
糖質の吸収速度が遅くなることとは、すなわち血糖値が上昇する速度を緩やかにするということです。
完璧なダイエット法は存在しない
完璧なダイエット法は存在しないわけで、低インシュリンダイエットにも欠点は存在します。
低インシュリンダイエットの欠点の1つ目は、なぜGI値が低い特定の食品しか食べられないのかという点です。
確かに単品で食べるのなら精白米よりも玄米の方が、血糖値の上昇速度を緩やかにする分体脂肪を蓄えにくい食品であるといえるでしょう。
でも、食事では必ず単品で物を食べるわけではありません。
玄米と比べてGI値が高い精白米でも、食物繊維が豊富な豆類や野菜と一緒に食べれば総合的にはGI値が低い食事内容になるのです。
これは単品ダイエットにも共通する欠点といえます。
欠点の2つ目は、低インシュリンダイエットの効果を過信しすぎてしまうという点です。
いくらGI値の低い食品を選んで食べるとしても、あるいは食物繊維の多い食品との食べ合わせにより総合的にGI値を低くしたとしても、
これは「体脂肪を蓄えにくい」食べ方であって「体脂肪を蓄えない」食べ方ではありません。
過酷な食事制限を必要とするダイエットを行うには少しでも効果のある方法を実践するのは正しいことですが、いくら食べても魔法のように全く太らない食べ方など存在しないのです。
体脂肪を蓄えにくい食べ方の効果を過小評価しつつ、ダイエット効果が少しでも期待できればよいという姿勢で臨むべきでしょう。