体脂肪の吸引術は安全?
体脂肪の吸引術は重度の肥満患者に行う外科手術として知られています。食事制限を主体としたダイエットでは減らすことの難しい皮下脂肪を、外科的な処置で減らします。
一見とても簡単そうで、運動もせずにスタイルを良くできる理想的な美容処置と思われがちですが、それほど簡単なものでもないようです。
外科医の技術差が影響
体脂肪をただ単に吸い出すだけの簡単な手術のようなイメージがありますが、それほど単純なものではありません。
この体脂肪の吸引は、外科医の技術差が非常に大きな手術の1つです。
現状の日本では、この手術を数多く手がけた実績のある医師はほとんどいないそうです。
医師の技術は過去の経験に比例する部分が大きいので、この点を考えると失敗を想定する覚悟も必要です。
脂肪吸引術によるリンパ浮腫
脂肪吸引術は簡単であるように思われていますが、現実はとても高度な技術を要求されるものです。
ただ単に体脂肪をポンプで吸引すればよいというものではなく、「リンパ関係の解剖学的知識が要求される」高度な手術です。
脂肪吸引術にはリンパ浮腫の危険がつきものなのです。
リンパ浮腫とは
リンパ浮腫とはリンパ液が正しく循環せず、組織に貯留して起こる慢性疾患のことを指します。
このリンパ浮腫の原因には先天的なものと後天的なものとの2種類に分けられます。脂肪吸引術により引き起こされるリンパ浮腫は後天的なものです。
手術によってリンパ節を切除してしまうことが発症の原因ですが、乳がんや子宮がんの手術後に多く発生します。
リンパ浮腫の症状
リンパ浮腫の症状は、慢性的な痛みやしびれを伴うむくみの発生です。一度発生してしまうとなかなか元に戻らず、症状は悪化して機能障害を引き起こします。
手術の直後に発症することもあれば、数年後に発症することもあるようです。
リンパ浮腫によるむくみや痛みのため、外出もできないような状態になる可能性もあります。
皮下脂肪の吸引と生活習慣病予防の関係
皮下脂肪の吸引と、生活習慣病予防の因果関係はありません。
脂肪吸引術で皮下脂肪を減らしても、肥満に伴う生活習慣病の危険性が減るわけではないのです。
そもそも生活習慣病は内臓脂肪が原因なのであり、皮下脂肪の吸引で外見が変化しても生活習慣病の発生率に影響はありません。