フラボンの概要
フラボンはフラボノイド系色素のポリフェノールの一種です。フラボンは一般的に淡色(主に無色や黄色)の色素です。
フラボンは多くの植物に存在するポリフェノールの色素で、サクラソウ属の葉などから分泌される白色の粉や、一般的に白色をした花びらに多く含まれています。
お茶に含まれる色素は主にフラバノールという成分ですが、フラバノールはフラボンの一種です。従ってお茶にはカテキンとともにフラボンも含まれていることになります。
フラボンと色合い
フラボンの色素は無色や黄色ですので、フラボンが無色の場合は人にとって非常に識別しにくい色です。その他の色素としてはアントシアニンが青や赤、カロチノイド類が黄色です。
私たちが色鮮やかな青や赤色、あるいは黄色の花びらを見れば、その存在をすぐに発見することができます。
ところで植物や果実の色には、何らかの意味が備わっています。例えばりんごが真っ赤でみかんが鮮やかなオレンジ色をしていれば、それを食べる動物にいち早く発見されることで種子が運搬されやすくなります。
しかしフラボンの色は淡く、動物に発見されやすい色であるとはいえません。それではなぜ、フラボンの色は無色や黄色の淡い色なのでしょうか。
フラボンの色素は私たちには淡く見えるだけですが、実は昆虫類には違う色に見えているのです。私たちは紫外線の色を識別できませんが、昆虫には識別できます。
昆虫は紫外線の他に青と緑色を識別することができますが、赤色を識別することができません。フラボン類の色素は赤色光と緑色光を反射して、紫外線を吸収します。
このようなフラボン類の色素の特徴から、昆虫類にははっきりと意味がある色であると識別することができます。例えば紫外線を吸収した白色の花びらは、昆虫にとっては明るい青緑色として認識されます。そしてフラボン類の色素は実際に、昆虫類を誘引しているのです。
ルチンはフラボンの一種
ルチンはフラボンの一種で、そばに含まれる抗酸化作用を持つ成分として知られています。
また韃靼そばにはルチンが多く含まることで知られていますが、韃靼そばにはフラボンの一種であるルチンがケルセチンという形で含まれています。
ルチンやケルセチンは、そばの苦味の成分でもあります。
ルチンの別名はビタミンPといい、抗酸化作用の他にも血圧を下げる作用、血管を強くする作用などが知られています。そばをゆでた後の湯を飲むと体によいといわれるのは、ゆで汁にルチンが含まれるためです。