クマリンの概要
クマリンは配糖体の形で多くの植物に含まれるポリフェノールの一種です。
クマリンには特有の香があるため香料として利用される他にも、医薬品(むくみ改善など)として使用されることもあります。
ただし注意が必要ですが、メリロートエキス(有効成分、クマリン)配合の、「むくみ」や「セルライト」対策のサプリメントは国民生活センターに様々な健康被害に見舞われたという相談が寄せられ、厚生労働省のホームページにも健康被害事例が掲載されていました。
クマリンは桜餅の香りの成分であるポリフェノールで、桜や桃の葉及びキク科、マメ科、セリ科、イネ科の植物に多く含まれます。
クマリンの肝毒性
クマリンには肝毒性がありますので、サプリメントによって気軽に摂取すれば痛い目にあうかもしれません。クマリンには薬理作用があり、殺鼠剤として利用されることもあります。
クマリン系の殺鼠剤及び獣忌避剤としては、クマテトラリル、フマリン、ワルファリンがあります。これらには蓄積性の血液凝固阻止作用があります。
例えばクマリン系の殺鼠剤であるワルファリンをネズミに投与する場合、一回でかつ多量の投与では致命的にならず、少量ずつ連続投与する場合には体腔や皮下組織などに浸潤性の出血を起こすため致命的になるようです。
ビタミンKには血液凝固に深く関わる作用があります。その一方でクマリンには、ビタミンK拮抗による抗凝固作用、毛細血管損傷作用があります。
クマリンのサプリメント
クマリンのサプリメントはメリロートという名前で知られ、むくみの改善効果を有するといわれています。その一方でクマリン誘導体(クマリンを化学反応で変換したもの)であるワルファリンは、殺鼠剤として使用されています。
ワルファリンは上記のように抗凝固作用を有するため、医薬品としては抗血栓薬として使用されています。血栓とは血管内の血液が固まる症状ですので、ビタミンKの働きを阻止することで血栓の予防や抑制を行うわけです。
メリロートとして知られるクマリンには、ワルファリンと同様の薬理作用があると考えられるでしょう。
例えばメリロートとして知られるサプリメントのクマリンの作用には「・・血液循環を改善し・・むくみの予防や除去に優れた効果があります」とあります。
上記のクマリンの薬理作用とはすなわちクマリン誘導体であるワルファリンがビタミンKの働きを阻止し、血栓の予防や抑制に作用するしくみです。
クマリンを多量摂取すると殺鼠剤の例のように毒となりますが、少量摂取することは抗血栓剤としての薬理作用を有することとなります。ただし、心筋梗塞に進展する動脈硬化の原因となる血栓を予防する薬理作用が、単なるむくみ改善に必要であるかという疑問です。
ワルファリンには催奇形性が指摘されるため妊婦に対しての投与は禁忌であることを考えると、メリロートによるクマリンの摂取も同様の危険性があると思われます。