肥満と脂肪細胞の関係
肥満とは体脂肪が過剰に蓄えられた状態を指しますが、体脂肪は脂肪細胞によって構成されています。また脂肪細胞は成熟脂肪細胞と未熟脂肪細胞(前脂肪細胞)に分けられます。
体脂肪は摂取カロリーの過多によって合成され、そして体脂肪を合成する脂肪細胞は数と体積の両面から膨張していきます。
脂肪細胞とは体脂肪を蓄える役割を持つ部分でもありますが、体脂肪を消費する特殊な脂肪細胞も存在しています。これは褐色脂肪細胞と呼ばれるものです。
体脂肪が増えるしくみ
体脂肪が増えるためにはまず、1日全体の消費カロリーよりも摂取カロリーの方が上回るようにしなければなりません。
そうすることによって、消費しきれなかったカロリーが体内で余るようになります。体内で余ったカロリーは脂肪へと合成され、その結果として脂肪組織が増えます。
すなわち、余ったカロリーを原料として「1つ1つの脂肪細胞が大きくなること」、及び「脂肪細胞が分化して細胞数が増えること」によって脂肪組織が増加します。従って「脂肪組織(体脂肪)の全体量=脂肪細胞の数×大きさ」という図式になります。
肥満の人の脂肪細胞の大きさは直径(130ミクロン)で、標準的な体重の人の脂肪細胞(70~90ミクロン)に比べて約1.3倍になります。
今までの定説では、成人においては脂肪細胞の体積が増えることはあっても細胞数が増えることはないとされてきましたが、最近の研究の進歩では成人後にも脂肪細胞の数が増えることが明らかにされました。
肥満の原因
肥満の原因は「摂取カロリーの過多」ですが、「脂肪細胞が大きくなること」あるいは「細胞数が増えること」は摂取カロリーの過多が招いた結果といえます。
ところでダイエットに関連するサプリメントには、「脂肪細胞に働きかけて痩せる」というものも見られます。
例えば「ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン、ゲニスチン」を配合したサプリメントがありますが、これらの4つの成分はそのどれもが大豆イソフラボン類のことを指します。
広告内容を一見すると「大豆イソフラボン製品」であることを感じさせず、飲むだけで大幅に痩せるようなイメージがあります。
ただし、サプリメントによる大豆イソフラボンの過剰摂取には注意が必要です。「「大豆イソフラボン」の過剰摂取は問題(美容によい健康食品)」
肥満と褐色脂肪細胞の関係
肥満改善との関わりが指摘されている脂肪細胞の種類として、褐色脂肪細胞というものがあります。
脂肪細胞は白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に分けられますが、白色脂肪細胞は上記のメカニズムで脂肪を蓄える役割を持ち、褐色脂肪細胞は蓄えられた脂肪を自らエネルギーに変えて消費する役割を持ちます。
肥満の原因の一つには、褐色脂肪細胞が効率的に働かないことによる基礎代謝量の低下があります。褐色脂肪細胞が効率的にエネルギーを消費できないのは、遺伝子に関連する原因や生活環境に起因する原因などが挙げられます。