ミトコンドリアと活性酸素と生活習慣病
ミトコンドリアの生み出す活性酸素は、生活習慣病や老化現象と密接に関わっています。
ミトコンドリアは「褐色脂肪細胞内のミトコンドリアの役割」にあるようにエネルギー代謝と生命維持には不可欠な存在ですが、活性酸素も生み出してしまうという欠点も有しています。
このミトコンドリアが酸素を利用してエネルギー代謝を行う過程で発生する活性酸素は、老化現象や生活習慣病の引きがねともなってしまいます。
生活習慣病が発生するメカニズム
生活習慣病を引き起こす原因の一つとしては、体内で発生した活性酸素がDNAを傷つけることが挙げられます。
ミトコンドリアが生命維持のために絶え間なく行うエネルギー代謝が、活性酸素を一定の割合で(呼吸で取り込む酸素全体の約3%)発生させてしまいます。
例えば本を読む時も運動を行う時も、あるいは寝ている間に行われる基礎代謝にもエネルギーが必要です。ゆえに生きていくためには必ず、DNAの損傷と修復が繰り返されることになります。
ミトコンドリアによるエネルギー代謝の過程で生み出される活性酸素は、ミトコンドリア自身も傷つけてしまいます。
活性酸素によってミトコンドリアが傷つけられると、傷ついたミトコンドリアは更に多くの活性酸素を生み出すようになります。すなわち、活性酸素が大量生産される悪循環です。
活性酸素は動脈硬化に関連する病気など、様々な生活習慣病の原因として知られています。
活性酸素の性質
活性酸素とは呼吸で取り込まれた酸素がある一定の条件のもとで、科学的に非常に不安定な状態に変化したものです。活性酸素は通常の酸素に比べて、いちじるしく化学反応を引き起こしやすい特徴を持ちます。
活性酸素はこのようにいちじるしく不安定な状態ですので、他の物質と反応して科学的に安定な状態に戻ろうとします。この時にたんぱく質や脂質、核酸などと反応してそれらを酸化させてしまいます。
活性酸素はミトコンドリアによるエネルギー代謝の他にも、体内における様々な酵素反応でも生産されてしまいます。また、体内で発生する活性酸素の量は老化に比例して多くなります。
活性酸素が体内で発生することは避けられないことですので、生み出された活性酸素の悪影響を食い止める対策が必要です。
活性酸素の悪影響を避けるためには、抗酸化作用を持つ成分を体内に取り入れることが大切です。抗酸化作用を持つ成分とは例えばビタミンC、E、ポリフェノールのようなものです。
活性酸素には感染を防ぐ役割も
その反対に、「善玉の活性酸素」は生命維持に不可欠な存在ともいえます。
感染病を引き起こすウイルスが体内に侵入してきた場合、白血球がそれを排除しようとします。この時には白血球が活性酸素を生産してこれを利用し、体内からウイルスを取り除こうとします。
ただしこの「善玉の活性酸素」は必要に応じて生産されるものであり、通常のいわゆるミトコンドリアが生み出してしまう「悪玉の活性酸素」とは明確に区別されます。
従ってここでの解説の意味を取り違えて、活性酸素の発生を促進させるような生活習慣を行ってはなりません。