糖尿病の治療は?

糖尿病の治療の目的は完治させることではなく、糖尿病の進行と合併症などの病気をいかに制御していくのかという部分にあります。

糖尿病は現在の医療では完治させることはできませんが、食事療法と運動療法によって進行を遅らせることができます。糖尿病の進行を遅らせることによって様々な合併症を予防することがとても重要です。

食事療法と運動療法にさえ気をつけて病気の進行を遅らせれば、糖尿病ではない人と変わらない生活の質を保つことができます。

糖尿病の初期

糖尿病の初期の段階では、食事療法と運動療法が大切です。食事療法と運動療法によって糖尿病の合併症を防ぐことが、治療の中心となります。 

しかし糖尿病が進行してくると、網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化症などを引き起こしてしまいます。これらの病気は何れも深刻なものですので、発症する前の予防が大切です。

糖尿病が進行した段階になると、血糖降下薬という飲み薬やインシュリン注射を行う必要がでてきます。従って糖尿病の初期の段階での食事療法と運動療法が重要となります。

糖尿病の食事療法と運動療法の目的としては、分泌の少なくなったインシュリンを節約し、インシュリンに対する抵抗性を改善し、肥満を解消することです。糖尿病の多くは食事療法と運動療法を適切に行えば、血糖値の上昇をコントロールすることができます。

食事療法を行うことによって過剰なエネルギーの摂取を制限し、運動療法で摂取したエネルギーを消費することになります。

その他、運動療法は脂質代謝の改善、筋肉や体力の増強、心肺機能の改善や強化、ストレスの解消などの目的も兼ねることになります。

糖尿病の合併症における注意点

糖尿病や合併症の状態によっては、運動療法が逆効果となることもあります。

運動によってかえって血糖値が高くなることがありますし、糖尿病による合併症を併発した場合にはその症状を悪化させることもありますので注意が必要です。

またインシュリンの働きが極端に悪い状態で運動を行うことにより、ケトン体が増加することからケトアシドーシスを引き起こしてしまいます。

ケトン体

ケトン体とはエネルギーを脂肪からまかなおうとする時に発生する酸性の物質で、ケトン体が多くなれば血液が酸性に傾いてしまいます。糖質の不足や糖質の利用に障害がある場合に運動を行うことで、ケトン体が発生することとなります。

すなわちインシュリンの分泌と作用が著しく低下した状態では、脂肪がエネルギー源となりやすいためにケトン体を体内に増加させる結果となります。

ケトアシドーシス

ケトアシドーシスはケトン体の増加で血液が酸性に傾くことを特徴とし、インシュリンの著しい欠乏によって引き起こされる代謝異常のことを指します。ケトアシドーシスが深刻になれば意識障害や、昏睡状態に陥る場合があります。

なお、食事療法は運動療法とは違い、合併症の場合でも有効な治療の一手段となります。