妊娠中のダイエットで子供が肥満に?
妊娠中にダイエットを行うことで、生まれてくる子供が一生肥満になりやすい体質、更には糖尿病や生活習慣病にもかかりやすい体質になる可能性があります。
出産時の妊婦の体重が少なければ生まれてくる子供の体重も減少しますが、その後の成長の過程では逆転するようです。出産直後の子供が丸々と太っていることは、その後の健康や肥満防止の観点からはよいことだったのです。
確かに妊娠中は体重が増加しやすいため、見た目を気にしてダイエットを行う機会が多いと思います。ただし妊娠中のダイエットは、胎児への影響が大きいのです。
妊娠の後半期はダイエットを避ける
妊娠の後半期には、ダイエットを行わない方がよい可能性があります。京都大学の教授が米医学誌のセル・メタボリズム誌に発表した内容によると、
「妊娠後半期のマウスの栄養を30%減らすことにより、出産時の子供の体重は通常よりも17%少なかった」が、「その後の発育の過程においては体重は正常に戻りながらも、糖尿病気味の状態であった」。
「以後の成長時期に高脂肪のえさを与えると、正常なマウスに比べて15%の体重増加が見られた」ということです。
体脂肪を減少させるレプチンが働かない
体脂肪を減少させるレプチンが働かないため、マウスが肥満になるようです。妊娠中のダイエットは、レプチンの働きを鈍くさせるようなのです。
上記の発表内容によると、「出産時に少ない体重で生まれたマウスにはレプチンを投与しても食べる量に変化がなく、エネルギーをため込みやすかった」との部分がありました。
マウスが体脂肪の増加を抑制するレプチンに対する抵抗性を持って生まれたことから、体重が増加する結果となったのです。
レプチンとは肥満を防止するように作用する体内物質の一種です。体脂肪が増加したときにはレプチンが盛んに分泌されて、食欲抑制とカロリーの消費促進から体脂肪を減らすように働きます。
レプチンの作用不足でも体脂肪は増加する
レプチンは体脂肪を減らす役割を持つ体内物質なのですが、これが正常に分泌されても体内で作用しなければその効果は見込めません。
分泌されたレプチンに対して体が抵抗性を持つことによっても、体脂肪が増える結果になるということです。レプチン受容体に異常があれば、レプチンが分泌されても作用しません。
レプチン受容体とは、レプチンを運ぶ役割を担うものです。レプチンが正常に作用するためには、それがレプチン受容体によってヒスタミンまで運ばれる必要があります。
何れにせよ子供の正常な発育を願うのならば、妊娠中のダイエットは控えた方がよいという結論です。