水溶性食物繊維が便秘解消に働くしくみ
水溶性食物繊維を便秘解消の観点から捉えると、とても優れた効果を発揮することがわかります。もちろん不溶性の食物繊維も便秘解消には不可欠なものですが、水溶性食物繊維は不溶性にはない特徴を備えています。
食品中の脂肪や糖分、たんぱく質などが小腸でほぼ完全に消化吸収されるのに対し、食物繊維はほとんど壊されることなく小腸を通過し、そのままの形で大腸まで到達します。
消化吸収される三大栄養素とは違い、食物繊維は大腸まで働く力を温存しているというわけです。食物繊維が大腸に達して便の量を増加させることで、便秘解消に有利な環境が作られます。
食物繊維は大きく水溶性と不溶性に分けられるわけですが、不溶性に比べて水溶性の食物繊維は保水力が大きいという特徴があります。
便の水分量が便秘解消に関わる
便秘解消の決め手の1つは、便のやわらかさを保つことです。
私たちが水分を補給した時には、その水分は腸から体に吸収されます。そのようなわけから便が腸内を通過する時には水分がどんどん吸収され、その結果として便が硬くなっていきます。
便が硬くなれば、それに比例して便秘は深刻になります。そこで便秘を解消するためには、腸内の便の水分量を確保する必要があるのです。
食物繊維の大きな役割のひとつはその保水力です。便に混ざって水分を抱えることで、便のやわらかさを保ちます。水溶性の食物繊維が水分を抱える量は、不溶性の食物繊維とは比較にならないほど大きな量です。
便秘解消に有利な水溶性食物繊維の性質
水溶性食物繊維が便秘解消に優れている理由は、不溶性とは違い水分を吸収して膨れ上がるためです。このことによって便のかさ(体積)を増加させ、そして便をやわらかくします。
便秘の原因にはもちろん生活習慣による部分もありますが、生活習慣の改善を前提とすれば次には便の状態が問題となります。最も便を排出しにくいのは、便の量が少なく硬い状態です。
排便のしくみには、「直腸・結腸反応」というものがあります。これを簡単に表現すれば、腸内に便がたまった(直腸に達した)時にぜん動運動が引き起こされるというしくみです。
すなわち排便を引き起こすためには、腸内が一定量の便で満たされる必要があるのです。更には便が硬くては、排便時に便を出すことが困難となります。
食物繊維はつい最近までは栄養的に全くの無価値であるもの、摂取しても意味のないものであると考えられてきました。
ただし栄養的に価値のある(エネルギー源となる)炭水化物やたんぱく質を摂取しても、ほとんどが消化吸収されてしまうために便の量が増加しないのです。
更には炭水化物やたんぱく質や脂質といったものは未消化の状態で腸内にとどまる場合もあり、このような時には悪性の細菌によって腐敗させられてしまいます。
これでは悪玉菌にエサを与える状態になるため、腸内環境も悪化してしまいます。
水溶性食物繊維には炭水化物などの未消化物、あるいは悪性細菌が作り出す毒素などを包み込んで体外に排出させる作用があります。
水溶性食物繊維は便の量の確保と腸内環境の悪化防止の両面から、便秘解消に働くわけなのです。