神経管閉鎖障害には緑豆の葉酸
葉酸は神経管閉鎖障害の予防に欠かせない栄養素で、妊婦の方には不可欠です。
もちろん生まれてくる子供が必ず神経管閉鎖障害になるというわけではありませんし、神経管閉鎖障害になる率も1998年の時点を例にすると1万人に対して6.0人でそれほど多くはありません。
ただし神経管閉鎖障害を確実に予防するという観点からも、妊娠中の胎児の正常な発育に寄与するという観点からも葉酸が欠かせません。葉酸は豆類のなかでは、緑豆に最も豊富に(100g中460μg)含まれています。
葉酸は玉露にも豊富に含まれていますので、玉露と緑豆で少しずつ摂取するということも可能な選択でしょう。その場合は玉露にも緑豆にも、葉酸以外の栄養素が豊富に含まれています。
厚生労働省による提言では神経管閉鎖障害の予防には「葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスがとれた食事が必要である」とありますので、葉酸に限らない幅広い栄養の摂取は大切なことです。
葉酸とビタミンB12
葉酸とビタミンB12は、ともに乳児の成長には不可欠な栄養です。
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンで、造血作用があります。また、細胞の分化が行われるのに必要な栄養です。
このため妊娠中に胎児が成長する過程では、胎児の細胞が分化する時に必要な栄養です。もちろん造血や細胞の分化に関わるということは、乳児の成長の維持にも欠かせない栄養です。
また、ビタミンB12は葉酸とともに核酸の合成に関わる栄養で、骨髄においての細胞分化、中枢神経の維持、脂肪の代謝に重要な役割を果たします。
葉酸が欠乏すると造血機能に異常が生じ、巨赤芽球性貧血や神経障害になることが知られています。またビタミンB12が欠乏すれば、悪性貧血や神経疾患などを引き起こします。
成人では悪性貧血の予防や改善という観点からも、鉄分とともに葉酸とビタミンB12が必要です。ただしビタミンB12は厳格な菜食主義者でもない限りは欠乏が見られないため、鉄分と葉酸の摂取に努めることが大切です。
もちろん鉄分の吸収率にはビタミンCも絡むため、幅広いビタミンとミネラルを総合的に補うことが必要ということでしょうか。
緑豆の栄養価
緑豆に多い栄養には葉酸の他に、多数のビタミンとミネラルを豊富に含みます。
ビタミン類として際立って多いのはビタミンB1(0.70mg)とビタミンB6(0.52mg)、ミネラルではカリウム(1300mg)、マグネシウム(150mg)、鉄分(5.9mg)、亜鉛(4.0mg)、銅(0.91mg)です。
上記の栄養素の男女平均の所要量はビタミンB1(0.95mg)、ビタミンB6(1.40mg)、カリウム(2000mg)、マグネシウム(275mg)、鉄分(10.0mg)、亜鉛(10.3mg)、銅(1.60mg)です。
もちろん豆類の食品としてたんぱく質(25.1g)と食物繊維(14.6g)も豊富で、カロリーは354kcalです。
※いずれも100g当たりの数値