貧血の予防は粟の鉄分で
貧血の予防には鉄分が必要です。基本的に鉄分は体内にあるものを再利用するため、その必要量はきわめてわずかです。ただし女性や妊婦の鉄分欠乏性貧血はかなり多いため、注意が必要です。
粟(あわ)には鉄分が豊富(100g中4.8mg)に含まれています。
よく貧血にはレバーが良いといわれていますが、粟に含まれる鉄分の量は牛のレバー(100g中4.0mg)やほうれん草(100g中2.0mg)よりも多い量です。レバーやほうれん草を100gも食べるのは、なかなかできるものではありません。
鉄分不足で貧血と発育の遅れ
貧血は鉄分不足の代表的な症状ですし、成長期に不足すれば発育の遅れにもつながります。
●貧血になる(赤血球量は正常であるが、ヘモグロビン量は減少する)
●疲れやすく、忘れっぽくなる
●乳児では発育が遅れる
成人女性の鉄分の所要量は1日当たり10~12mgです。
鉄分はいんげん豆や大豆などの豆類の食品や種実類、あおさや青海苔などの藻類、魚類のきもや肉類のレバーなどにも多く含まれています。
ただし豆類は調理すれば100g当たりの含有量も減少しますし、種実類の食品も比較的高カロリーでたくさん食べれるものではありません。藻類の食品もかさが多いため、一度に食べられるのは数g程度です。
粟がゆで鉄分を効率的に摂取
ほうれん草で鉄分を補うのは意外と難しいことですが、粟がゆでしたら簡単に補うことができます。
朝食に粟がゆを乾燥重量として100g分摂取すると、これだけで1日の必要摂取量の4分の1強を補うことができます。
その他にも粟には骨や歯の形成に必要なマグネシウムと、皮膚や粘膜の健康維持を助けるパントテン酸も多く含まれ、便秘解消効果や整腸効果を期待できる食物繊維も3.4g含まれています。
鉄分を補う時にはビタミンCの併用が効果的です。
鉄分は体に吸収されにくい栄養素の1つに数えられるのですが、ビタミンCには鉄分の吸収を助ける作用があります。「美容のビタミンCは玉露に多い?」
粟の漢方の健康効果
漢方で知られる健康効果としては腎臓の働きを良くし、脾臓や胃の熱を取り去り気を増し、吐き気や口の渇きなどに効果があるとされ、今でも食べ続けられています。特に妊婦が栄養を補うときに食べることが多いようです。
以下は漢方としての利用法の一例です。
〔粟の黒砂糖がゆ〕
材料:粟100g、黒砂糖適量。
調理:一、粟をきれいに洗い、鍋に入れて煮、沸騰し始めた時、弱火にして更に煮る。
二、食用の時、適量の黒砂糖を入れて均等にかき混ぜ、更に煮て、お椀に盛る。
効能:産後の寒気、発熱、胃の虚弱改善