「大豆イソフラボン」の過剰摂取は問題

大豆イソフラボンの過剰摂取は避けた方が無難なようです。大豆イソフラボンはよい意味でも悪い意味でも、現在は比較的注目されている成分の1つです。

なぜ大豆イソフラボンが注目されたのかといえば、大豆イソフラボンが体内で女性ホルモンと同様に作用するためです。大豆イソフラボンが女性ホルモンと似た働きを持つため、女性の美容と閉経後の健康維持に役立つというわけです。

ただしイソフラボンが健康維持に役立つのは食品から摂取した場合に限り、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。

サプリメントによる「大豆イソフラボン」には注意

サプリメントによる大豆イソフラボンの摂取は推奨されません。確かに天然食品の大豆による大豆イソフラボンの摂取は健康維持に有益なわけですが、大豆イソフラボンをサプリメントとして濃縮した成分は健康に害を与える場合が多々あるのです。

健康に好影響を与える成分は適度に摂取した時にその効果を発揮するわけですが、濃縮したものを多量摂取した場合には健康を害してしまいます。

内閣府食品安全委員会の専門調査会によると、「大豆に含まれる栄養成分、大豆イソフラボンを配合した特定保健用食品については妊婦や子どもの摂取は推奨できない」とする安全性評価をまとめています。

男性及び妊婦以外の女性では、普段の食事以外に追加して摂取する上限量を「30mg以内」としています。大豆イソフラボンをサプリメントとしてこれ以上摂取する場合、健康維持には負の影響を与える結果となります。

特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全性

大豆イソフラボンは特定保健用食品として認定された成分でもありますが、特定保健用食品の認定が絶対的に安心、安全であるとは言い切れません。

特定保健用食品として認定されるためには、一定期間の試験を以って作用の信頼性や安全性の科学的データを得ることとなります。それゆえに特定保健用食品に認定された健康食品は、いわゆる他の健康食品よりも安心できます。

ただし特定保健用食品に認定されるためには、資金力などその他の要因も複雑に絡んできます。それゆえに特定保健用食品が必ずしも非認定のいわゆる健康食品よりも、効果や安全性に関して優れているとは言い切れません。

例えばいわゆる健康食品と同程度の健康作用を有する食品であっても、企業に豊富な資金力さえあれば特定保健用食品に認定されやすくなるという側面も見逃せません。

あるいは特定保健用食品として認められる条件には一定期間の試験データが必須ですが、あくまでも一定期間であり長期に及ぶ摂取の影響は考慮に入れられていません。

これが今回の大豆イソフラボンの例では裏目に出たわけで、特定保健用食品として安全性を保証した後に、その安全性で問題が発生することとなりました。

ただし特定保健用食品を大局から評価すれば、一定期間の試験データが取られる点から安全性は高いはずです。要は特定保健用食品でも他の健康食品でも100%はないわけで、最終的には消費者の目利きが必要だということです。

大豆イソフラボンの厚生労働省による評価

厚生労働省のホームページでは、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針について、平成18年6月28日から同年7月25日まで厚生労働省のホームページ等を通じて御意見を募集」し、「お寄せいただいた御意見とそれらに対する厚生労働省の考え方」がまとめられています。

大豆イソフラボンは大豆食品で充足可能

妊婦や子どもはサプリメントの摂取を推奨しない

サプリメントの許容上限摂取量は30mg以内

通常の食品からの摂取は問題なし

サプリメントとしての大豆イソフラボンの摂取には慎重になるべきです。基本的には通常の食生活で補えるのであれば、サプリメントは避けた方が無難です。

食生活の極度の乱れから天然食品でどうしても大豆イソフラボンを補えない場合に限り、サプリメントでは許容上限摂取量を厳守した上で補うことが大切です。

大豆イソフラボンは大豆食品で充足可能

大豆イソフラボンは通常の食生活において、大豆製品を適量摂取することで不足することはありません。できるだけ大豆製品を取り入れたバランスのよい食事内容を心がけるのが理想です。

サプリメントでは大豆イソフラボンを補うという視点よりも、過剰摂取による健康への負の作用を避ける視点が必要です。そしてこれは特定保健用食品でも例外ではないということです。

「大豆イソフラボンは大豆食品を適量食べていれば十分に充足されるものなので、特定保健用食品等によって過剰摂取とならないような注意喚起をする」とあります。

妊婦や子どもはサプリメントの摂取を推奨しない

妊婦や子どもはサプリメントで大豆イソフラボンを摂取するべきではありません。

大豆イソフラボンは体内で女性ホルモンと同様に作用する成分ですので、妊婦はもちろん子供の体内では悪影響を及ぼします。

授乳中の人ではその人を経由して乳児に影響を与える可能性が否定できませんので、母乳を与える必要がなくなった時にあらためてサプリメントの摂取を考慮することが必要です。

「乳幼児や小児、授乳中の人、妊娠中の人やその可能性ある人への注意事項は大書する等十分な方策を取る」とあります。

許容上限摂取量は30mg以内

大豆イソフラボンを通常の食生活に加えて、サプリメントとして摂取する場合の許容上限摂取量は30mg以内とされています。基本的にはサプリメントによる大豆イソフラボンの摂取は避けた方がよいと思われます。

サプリメントによる大豆イソフラボンの摂取は健康に与える好影響よりも、過剰摂取による負の影響が大きいのです。それゆえにサプリメントで普段の食生活から追加として補う場合には、30mgを超えないことが絶対条件です。

大豆製品でイソフラボンをある程度補っていると思われる場合には、30mgから更にサプリメントによる摂取量を減らすことが必要です。

「食品の一日摂取目安量を設定するにあたっては、関与成分としてのイソフラボンアグリコン含有量が30mgを超えないようにすること」とあります。

通常の食品からの摂取は問題なし

イソフラボンを通常の食品から摂取する場合、健康上の問題はありません。

許容上限摂取量の対象は、「錠剤・カプセル剤・粉末剤・液剤等のうち大豆イソフラボンを濃縮・強化し、大豆イソフラボンを摂取することを目的とした「いわゆる健康食品」」です。

通常の食生活の範囲内においては、「大豆食品そのものは通常の摂取をする限り健康を害することはないと考えるが、特定の食品に偏らないバランスの取れた食生活を心がけるよう奨励する」とされています。